アナルカッター

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小学生の時、図書館に入り浸っていた時期があった。
図書館は冷房がきいているし、冷水機で水も飲めるし、本はあるしでお金なんかなくったって楽しめた。
僕は小さい頃から本が好きで、妖怪レストランだったり、しょうもない恋愛占いの本を読んだり、エジソンの伝記を読んだりと、多くの本を読んだ。

そんな中でも一番の楽しみは、リサイクルボックスに置かれた本を漁ることだった。
リサイクルボックスってのは、図書館ではもう不要となった古い本だったり、借りる人が少なかったりと、
まぁ理由はわからないが図書館がもう不要と判断した本を「無料で持ち帰って自分のものにしていい」と認定された本が置かれている箱だ。
そこには不要と判断されるだけあって、もうボロボロでページが欠けていたり、ページが足りていてもテープで補修されているような本がたくさんあった。
僕はそれを毎日のように漁って、新しくて読んだことのない本があったら小説だろうと、絵本だろうと、どんな物でも持ち帰って読んだ。
今思うと自分の文学好きはここで培われたのだと思う。

そんな日々を幾度ばかり繰り返したある日のこと
僕はいつものように図書館に足繁く通っていたのだが、その日はどうにもお腹の調子が良くなかった。
皆さんは腹痛というものを真の意味で体験したことがあるだろうか。
真顔ではいられず、止まることも動くこともできず、ただただ便意と戦う。
出したいけれど、トイレが近くにない。
そういう経験をしたことがあるだろうか。

大抵の人に聞くと、お腹が痛くて漏れそう、または漏れた経験はあるかと聞くと、
「滅多にない」と答えるか、「なる前にトイレに間に合う事がほとんどだ」という人がほとんどだった。
私は下痢になりやすい体質で、常日頃腹痛と戦っている。
腹痛というのは予兆は全くなく、例えば電車に乗るまではなんともないのに、電車に乗った瞬間から腹痛が起きるだとか、学校でテストが開始されたと同時に急な腹痛に襲われるだとか、そういう経験が幾度となくあった。
もちろん、大抵は死にそうになりながらも便意を我慢し、トイレに到達することができる。
しかし、数ヶ月に1回は間に合わない時もある。
高校受験のときはそういった自体を見越して、前日の夜にお母さんに泣いて頼んで下剤の浣腸をお尻に挿入してもらうという名采配を行った。

そんな腹痛が、その日も発生した。
慌てて走って、青ざめながらも図書館のトイレに走り、何とか最悪の事態を避けることができた。
しかし安堵したのもつかの間、僕はあることに気が付いた。
トイレットペーパーがどこを探してもないのである。

最悪だった。お尻に下痢うんちをつけたまま今日1日過ごさなければいけないのかと僕は絶望した。
図書館のトイレはウォッシュレットじゃないのでお尻を綺麗に洗うこともできないし、
ポケットティッシュを持ち歩くようなおしゃれクソガキでもなかったので尻をふけるものが何一つない。
しかし時間ばかり立っては下痢が乾いてかたまって尻にこびりついてしまう。
たすき掛けの計算方法を覚えたばかりの頭でこの状況の打開策を必死に考えた。

 

その時、ふと妙案が舞い降りてきた。

「リサイクルボックスの本でお尻をふけばいいのでは?」

 

天才だった。
自分の才能が怖いぐらいだった。

急いで僕は尻同士がこすれないよう器用に歩きリサイクルボックスへと向かった。
そこには今でも鮮明に覚えている、忘れもしない、伝説の一冊があった。

 

はれときどきぶた

それを僕は鷲掴みすると再びトイレへと駆け込んだ。
ページをちぎり、クシャクシャに丸めてお尻へあてがって力強く拭いた。
たしか、お母さんが入っている温泉に豚が降ってくるシーンのページだったと思う。

ところで、こんなことは知っているだろうか。
絵本は基本的にコート紙の110kgだとか、135kgだとかの通常より分厚い上質な紙が使われている。
児童が多少粗雑に扱っても破れたりくしゃくしゃになったりしない、本当に上質な紙でできているのである。
僕はそんな紙でお尻を力強く拭いた。
当時はまだちんこにもアナルにも毛が生えていなかったので、何も守る者がいなかった。
そんな純粋無垢なパイパンアナルに強くコート紙を擦り付けてしまったのである。

痛みで顔を歪めた。
思わず「んあってっ」という声が漏れた。
はれときどきぶたに、鮮血が滴った。

僕はこの日、小学生にして人生で初めて、「切れ痔」というものを経験したのである。

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